ワンウェイクラッチ/左右独立のクランク
power-cranksだからこそ気づけたペダリングについての考察
以下は、200回転とかするトラック競技者、90回転以上が日常のローディには当てはまらないだろうということを前提に。
意図的にトルクかけてダンシングしたりSFR(Slow Frequency Revolutions=低速ケイデンス)でもしている時でない限り、わたくしの感覚だと90回転以上とかでこの過程を意識するのは無理。
一流のローディーやトラックレーサーたちは、もうほとんどそのセンスで理想的なペダリングを習得できているのだと思う。
わたくしもレースに取り組み出した頃は200rpmを越える回転練習とかをローラー台でしていたけれど、結局、習得したペダリング技術は中途半端だったと思う。
power-cranksに取り組み始めたのは、もうホビーレースに出なくなって、和太鼓に集中していた頃。レースのためのトレーニングでなく、通勤が主で、体幹を鍛えることにつながるとの思いから。
だから逆に、手持ちの4台のロードバイク全てをpower-cranksに換装して、ママチャリに乗る以外は、10年間いっさいノーマルクランクに乗らない、ということができた。
年間走行距離は微々たるものだけど。
学んだことを備忘録としてレポート。
❶重力(脚の重さ)
左右クランクが連結していないので、踏み込むことで(反対側の)足が上がってくるということがない。下ろした脚は下ろした側で上げる必要がある
→ 重力を否応なしに意識させられる。
@上死点からは自分の脚の重さがプラスに働き、下死点からは自分の脚の重さがマイナスに働く。
@初めの頃は、下死点から、主に腸腰筋あたりが異様に疲労。
つまり下死点から腸腰筋で自分の脚を重力に逆らって引き上げ、上死点からはその腸腰筋の収縮は解放して、脚の重さを活かして踏み下ろす、それを繰り返すしかない。
❷膝の意識
power-cranksで先ず意識させられるのは 自分の脚の重さなので、重力に関わる2過程が大事になってくる。
自分の脚を重力に逆らって引き上げることと、脚の重さを利用して「踏む」こと。
すると、意識するところが円運動をしているペダル周りでなくて、ほぼ上下運動している「膝」になってくる。
膝で自分の脚を持ち上げ、膝で自分の脚の重さを利用して踏み下げる。
それをどう効率よく続けるか。
@自身が20年コツコツ続けているの和太鼓の経験からすると、革の鼓面に瞬間的に有効な打撃を与えるのに大切な意識ポイントは、「肘」。
バチを握っている手の意識もあるにはあるが、肘が先行して鞭のようにつながっていかないといい音は出ない。
(ちなみにわたくしは、「鞭のように」を体感するために、実際に日本の鞭の第一人者/林麗奈さんに作ってもらったストックウィップ・ブルウィップで、音を鳴らす練習をした)
先端に力を有効に伝えるには、四肢のうちの腕であれば肘、脚であれば膝、がキーポイントであることは間違いない。
身体全体のつながりも大事なのは言うまでもないことだが。
power-cranks初心の頃は、その経験とのつながりを感じて、いつも「膝」先行でシューズにつなげるようにした。
@先ずはヒルクライムなどのケイデンスの低い方が乗りやすく、90回転以上の平地走行の方がキツい。腸腰筋あたりがキツすぎて回し続けられない。
@膝で自分の脚を持ち上げ、膝で自分の脚の重さを利用して踏み下げる、をひたすら繰り返す。
この、「膝」を意識すると言うことと、ただやみくもに筋力で踏むのでなく、自分の脚の重さを意識してそれを活かして踏む(脚の重さというのはかなりのもののはず)というところが重要だと思う。
この段階での極意「ペダリングとは、ただ膝を上げて下ろすこと、と見つけたり」
❸似て非なる別のペダリングが身につくまで繰り返す
@その過程では、ある特殊な感覚を味わう。
ノーマルクランクに乗り換えると、ペダルに蹴り上げられるような感覚を味わう。それが何故かはまだ分析できてない。
@しかし、ある一定期間を経ると、ノーマルもpower-cranksもあまり変わらなくなる。
@通常のロングライドで、脚を休めることなく回し続けられるようになったら、ペダルのパワー計で計測すると、ほぼ360°近くトルクをかけられるようになっている。
踏み込んで、膝を意識して上げる。
これが意識しなくてできるようになると、次の段階の踏む、引くに加えて、さらに上死点・下死点での切り替えをどうクリアするか
=スクエア四角の過程を意識・踏み込んだ勢いで引き足につなげる、上げた勢いで前に蹴り出すを意識。
そして、最後に円運動そのものを意識。
@日本一周での半年間毎日、power-cranks駆動し続けると、終盤、円回転全てにわたってトルクをかけ続けているような感覚を得た。
。。。あれ?
なんかあまり通常のペダリング上達過程とさして変わらない気がしてきた。
特殊性があるとすれば、膝の意識、か?
あと、通常、引き足を意識してそれなりにトルクをかけられるようになってきた段階でペダリング習得過程は曖昧になってお終い(というか、競技では何ワットで何分、という方が重要)、となるところを、感覚的には脳レベルから変革して身につけないとペダリングがグチャグチャになって走り続けることができない、という強制力が働く、というところだろう。
❹まとめ
初めから円運動を意識、では、トルクバンドを大きくすることは習得できない
@理想のペダリングは円運動、「踏む」ではなく「回す」であるという。
いわゆる「引き足」を意識することから始めて、円運動(確かにペダル・クリート・シューズは円運動している)全てにわたって効率よくトルクをかけ続けるにはどうしたらいいか、色々なことを教わった。
・シューズの底を引っ掻くようにペダリング
・シューズの底についた泥を落とすようにペダリング
↑これらは、下死点での切り替えをどうクリアするかの感覚的な表現だろう。
・サークル(円)の前に、スクエア四角の過程を意識
↑これは、踏む、引くに加えて、さらに上死点での切り替えをどうクリアするかも加わっている。
これらを習得するにあたって、power-cranksという道具を使うと、否応なしに強制力・矯正力が働いて、脚の重さを意識させられ、重力を意識させられ、上下運動する膝を意識し、腸腰筋周りの筋持久力がついてきて、自分の脚の重さを反対側の脚で踏み込むことで上げるという通常クランクでの力のロス無しでペダリングできるようになってから意識を円運動に移行させていくといいのでは、ということ。
そうすれば、ホビーレーサーがパワー計をつけて計測して自己満足できる円グラフを得られるよ、といったとこか。
power-cranksは、下死点から上死点までは自分の脚とペダルの重さは自分で引き上げないとペダリングできないので、その過程で負の方向に重力をかけないペダリングができるようになるのだ。
やってみる価値は、ある。
ともかくも、ペダルはいやがおうにも円運動しているから、「円運動のペダリングは、元々出来ている」のだ。
❺別問題その1
power-cranks、もう作ってない!?
どうもアメリカの会社は無くなってしまったようで。
しかし、この変態クランクを付けたろうか?という変態な人の数くらいには流通したはずで、そしてそのほとんどの人々は、いちいちそんな真剣に向かい合ってらんないので、、手元にあって無用の長物と化しているブツがかなりあるはずである。
わたくしもほとんどの手持ちは中古流通品である。
しかし、製品上の課題もかなりある。
最近、ワンウェイクラッチに関しては、刻印してある型番で調べたら、入手可能なブツであることが判明。
それについては、
パワークランク(power-cranks)のトラブル/その❷
にて。
❻別問題その2
ペダリングにおいて、何が効率がいい、ということなのか、わたくしはよく分かってない。
一定トルクバンドをやみくもに広げ、円運動全てにわたって一定のトルクをかけられることではなく、むしろ強弱リズムが適度にあることが良いのかもしれない
↓は、ある一流アスリート(元MTB全日本チャンピョン、現在トライアスロンのageクラスなどで活躍中)がインスタに上げていたペダルパワーフェーズ。
これは200km TTでのデータというが、そのバランスといい驚異的。むしろこれが効率のいい、筋疲労を蓄積しないペダリングなのかも。
↓わたくしの現在のpower-cranks使用時のもの。もっとも上記アスリートのとは、設定がそもそも違うはずだし、トルクバンドのかかっているワット数も全く違うはずだけど。
ほぼペダリング過程全域にわたって一定トルクをかけられるようになって、お、すげえじゃん、と思っていたけど、これが良いことなのかと問われると、、、
❼別問題その3
どう自分のトルクをbikeに伝えるか、ホビーレーサーレベルでも、まだまだ意識ポイントはたくさんある。
ハムストリング(太もも裏の3つの筋)
骨盤の角度(腰を入れる入れない)
アンクリング(足首を大きく動かすペダリング)
固定クリートか可動クリートか
骨盤の角度に関しては、今まで寝かせる(腰を入れる?)ことを意識したことは少なかったのが、一周中の毎日のライドで疲労してくると、ヒルクライムなどではむしろ寝かせて前乗りにして腰を入れてペダリングした方が有効だった。
アンクリングは、ない方がいいと言われている。
power-cranksを介してトレーニングすると、アンクリングはほとんど無くなってくる。
クリートは、わたくしはホビーレースに出ている頃はトルクかけて踏み倒すタイプだったので、固定クリート一本だった。一度TIMEの左右に動くペダルを試させてもらった時に、こんな力の逃げるペダルなんてありえないだろ、と驚愕したことを覚えている。
SHIMANOペダル一筋だったけど、踵が左右に動く、ということもあり得なかった。
ゆるいサイクリングや通勤が主になってくると、SHIMANO/SPD-SLクリートも赤(遊びなし)でなく、青(左右1度ずつ可変)や黄(左右3度ずつ可変)も大丈夫になった。でも、最近power-cranksでトルクを気持ちよくかけられるようになってくると、再び固定クリートが気持ち良い。SPD2つ穴クリートでも、シングルリリース派。